健康効果だけではなく、近年ではアンチエイジング効果やダイエット効果にも良いと言うことで注目を集めている「発酵食品」。
一言に「発酵食品」と言っても、漬物や納豆、醤油や味噌からヨーグルトやパンに至るまでたくさんの種類があります。
「えっ?!そんなものまで発酵食品だったの?」と驚いてしまうほど、日々何気なく取り入れており、身近な存在なんです。
昔は味噌や醤油なども家庭で日常的に作られているものでしたが、食文化の変化や流通の進歩により、購入したり、そもそも発酵食品が日常的に食すものではなくなってしまっています。
今回は、「発酵食を台所に取り戻す♪」というミッションの元、その魅力を発信し続けている発酵食堂カモシカさんをご紹介したいと思います。
発酵食堂カモシカ
お話を伺ったのは、発酵食堂カモシカの代表である関恵さん。
京都「嵯峨嵐山」にあるカフェ&レストラン「発酵食堂カモシカ」と、オリジナルの発酵食品や全国各地からセレクトした発酵食品や発酵グッズを販売している「発酵食堂カモシカ 発酵マルシェ」の2店舗を経営されています。
飲食店で物販も併設しているお店は多数ありますが、カモシカはあえて別々の店舗で展開をしています。
それは、どちらかが“おまけ”のような扱いになるのではなく、どちらも“主”だから。
食堂が「発酵の世界への入口」だとすると、発酵食品やグッズを購入する物販は「発酵食を台所に取り戻す出口」の位置づけなんです。まずは味わい、美味しさや身体の喜びを感じてから「外食」というカタチではなく自宅でも発酵を取り入れるために物販を利用する。逆も然り。マルシェで商品を購入したお客様が、それらを使った料理に触れてみる。入口と出口があって初めて成り立つ循環。
どちらも展開することに意味や意義があるのです。
「健康」の原点は「予防」にある。
もともと関さんは、北海道大学で経済を学んでいました。実家が薬局だったこともあり、漠然と健康×医療の観点で事業を立ち上げたいと思うようになります。
福祉の先進国であるスウェーデンのヨーテボリ大学に留学し政治経済を学びながら、スウェーデンという福祉最先端の国の実際の福祉現場に興味がわき施設在宅介護現場にてフィールドワークを実施。その後さらに医療福祉を深めるべく、医療福祉大学で医療マネジメントの修士号を取得後、医療がなぜギリシャからはじまったのかと調べるためにギリシャに渡ります。ギリシャは「医学の父」と呼ばれたヒポクラテスが生まれた国であり、その功績によってそれまでの医療において呪術や迷信と一緒に考えられていたものを、合理的な治療方法を探求することで科学としての医学を発展させてきました。
その後、コンサルティング会社に入社して、さまざまな業界のコンサルティングを経験した後、医療に特化したコンサルティング会社に転職。病院・医療関係企業や自治体のコンサルティングに従事します。
そうして医療の現場を多数見続ける中で、「健康」の原点は「医療」の手前である「予防」にあるのではないかと感じるようになります。
病気になってしまってからでは遅い。病気になる前に防ぐことが重要なのではないか、と。
人が本来持っている「力」を信じる。
関さんを医療の世界から発酵の世界へといざなうこととなる、決定的な出来事は出産でした。
初めての出産を控え、自分自身が納得できる出産をしたいと考えた関さんは、医療機関や助産院等様々な「産む場所」を探す中で、愛知県岡崎にある「吉村医院」と出逢います。
吉村医院では人が本来持つ「自然に産む力」を信じ、自然分娩にこだわりを持っていました。通院の際は、妊婦が自ら薪を割ったり拭き掃除を行うことで出産に備えての体力を身につけ、その割った薪で炊いたご飯を自家製の味噌で漬けたお漬物とお味噌汁と一緒に食べる。そうして、心と体を整えてから自宅に帰り、自然分娩に備えるというもの。
創業者である前院長の吉村正さんは、元々は最先端の西洋医学によって医療技術を駆使した分娩管理を目指していましたが、数々の出産に立ち会う中で自然の力を信じることの大切さに気付き、そうしたスタイルを確立するに至ったそうです。
そうした中で出産を迎えた関さんは、「命を産む」ことの大変さと喜びを味わい、「自分でなにかを生み出せる」ことに自信を覚えたと言います。
人本来が持つ力を信じ、その力を最大限生かせる状況を作ることこそ、真の健康や元気な身体の源になるということを、自身の原体験をもって証明されたように感じた関さん。
それこそが「治療」よりも大切な「予防」につながると確信していきます。
本質的な価値。
予防の観点へと思考がシフトする中、ちょうどその頃に遭遇した東日本大震災を受け、住んでいた千葉から実家のある京都へと移り住んできたことをきっかけに、今の延長線上で何かに取り組むには限界がある。残りの人生は本質的なものに注力し、取り組んでいくことを決めます。
それが発酵でした。
料理屋を40年間営んでいた祖母の影響で、日頃から自分たちで野菜を育てたり、その野菜で漬物をつけたりすることを楽しんでいた関さん。
その奥深さと効能等は一生かけて突き詰めていく価値のある、「本質的なもの」だと辿り着きます。
カモシカで働くスタッフさんたち。嵐山のように観光地にある飲食店では珍しく、日曜日はお休み。営業日の火〜土曜日も17:00で閉店します(月2回はバルを夜開催されていますので、発酵×お酒を楽しみたい方は是非!)。それは、関さん自身が家庭を仕事と同じくらい大切にしているから。主婦の方にとってはとっても働きやすい職場になっているんです!まさに働き方改革の先駆者と言っても過言ではないですよね?!
発酵食堂カモシカの人気メニュー「本日の発酵8種定食」。自家製ねり梅ソース豆腐のせ、自家製味噌豆腐のせ、古式製法さばへしこ、魚醤(いしる)のピリ辛こんにゃく、柚子胡椒くんせい煮卵のせ、地場野菜のピクルス、おあげの発酵あんかけ(麹納豆あん、ニンニク醤油あん)の8種類。一品一品が優しくて、体に染み渡る美味しさ!いつもは早食いしてしまう私も、自然とゆっくりと味わいながらお箸を進めてしまいます。「体にいいことしてる!」という感覚を味わわせてくれます。
2月1日〜2月14日までの期間限定で販売される、4種の発酵チョコタルト。すべてカモシカにて自社製造されています。チョコレートも実は発酵食品だということをご存じですか?チョコレートという発酵にブルーチーズやみりん粕、発酵バターなど様々な発酵食品を重ねて発酵の世界を楽しんでいただけるようなスイーツになっています。
発酵食を台所に取り戻す♪
冒頭でもお伝えしましたが、関さんが祖母から教わったように昔の日本では自宅で発酵食品を育てることが日常的でした。
それが、近年は食文化も変化し、コンビニ等で気軽に食べ物が入手できる状況になったことで、「美味しく食べられれば何でもいい」という若者が増え、食に対して受け身な人たちが蔓延してきてしまったように感じます。
健康で元気な生活を送るために必要な要素が予防だとすると、その予防を行う主体は自分自身でしかないのです。
治療は、それを行う機関に行けば何かしら施してくれるかもしれませんが、予防は違います。何を食べるか、どんな運動をするのか、どんな睡眠をとるのかでしか身体は作られません。
関さんは、発酵食を台所に取り戻すことで真の健康な身体を作っていって欲しいと願っています。一人一人が食の主導権を自らに取り戻すことが、主体的な人生を歩む上ではとても大事なことかもしれません。
そのために、やっぱり発酵マルシェという「出口」を通じて「台所に発酵食を取り戻す」ことが大切だと関さんは考えています。たまに食べるのではなく、日常から少しずつでも発酵食品を取り入れることを大切にしたく、また自らの手がつくる世界という意味でも。
命は命で元気になる。
HPにも書かれたこのメッセージは、カモシカの考える本質です。
新鮮な野菜や食品たちに発酵をプラスすることで、そこには命が宿る。私たち命ある生き物は、同じように命あるもので活かされる。
発酵とは、人の手の力によって促進される微生物の働きを言い、発酵を経た食品は、保存性が増し、美味しさや栄養価が高まります。
微生物たちに命を吹き込むのは人の手であり、微子物たちのおかげでできた発酵食品をいただくことで人は元気になる。その相互作用こそが命をつないでいっている、と言えるのではないでしょうか。
いかがでしたか?
自分自身や大切な家族の健康は、自分たちで積み重ねていった結果のようなもの。消極的に食べるものを選ぶのではなく、主体的に向き合ってみませんか?
また、カモシカの商品は通販でも手に入れることができますので、是非一度HPをのぞいてみてくださいね。
<発酵食堂カモシカ>
〒616-8371
京都市右京区嵯峨天竜寺若宮町17-1
TEL:075-862-0106
営業時間:火〜金:11:30〜17:00
土:11:30〜15:00
定休日:日曜・月曜
※毎月第4土日は発酵バル開催(17時〜22時 予約不可)
https://kamoshika.kyoto.jp/
<発酵食堂カモシカ 発酵マルシェ>
〒616-8371
京都市右京区嵯峨天竜寺若宮町21-2
TEL:075-748-0186
営業時間:火〜土:11:30〜17:00
定休日:日曜・月曜
https://kamoshika.kyoto.jp/
<発酵食堂カモシカ WEBショップ>
TEL:075-748-0186
営業時間:火〜金:11:30〜17:00
http://store.kamoshika.kyoto.jp/