美味しいごはんを食べに行った際、「この味を家でも再現したい!」と、一生懸命使われている材料や味付けを確認して作ってはみるものの、なんか違う…。そんな経験をしたことはないですか?
でも、そもそもお店がレシピを公開していて、作るうえでのコツや使っている調味料にいたるまですべて教えてくれちゃうとしたら、どうですか?!
京都府・大山崎町にある「Relish食堂」では、ランチメニューのレシピや材料、調味料に至るまで、その詳細をお店の黒板で公開しています。なぜ飲食店にとって命とも言えるレシピを公開してしまうのか?!その根底にある想いと願いを、オーナーである森かおるさんに伺ってきました。
阪急「大山崎駅」から徒歩10分。Relish食堂は、大山崎町の閑静な住宅街に佇む「オーガニック食堂」です。
緑に囲まれた、どこか昭和の面影が残る外観と手書きで書かれた看板が温かみのある雰囲気を醸し出しています。
店内の黒板でレシピを公開。
店内に入ると、カウンター上の黒板一面に、その日のランチのレシピや材料、調味料に至るまで詳細に公開されています。
また、その調味料や食品等の一部が店内で販売されているうえにスタッフさんに聞けば調理上のポイントやコツまでつぶさに教えてくれるので、おうちで完全に再現することができちゃうんです!
飲食店にとってレシピは、まさに「企業秘密」。家では食べられないものやなかなか自分では作れないものを提供するよう心がけている飲食店が多い中、Relish食堂の発想は全く逆!「おうちでも是非作って欲しい!」が根底にあるのです。
母乳育児をする中で食生活の大切さを痛感。
お話をお伺いしたのは、オーナーである森かおるさん。
元々は子供服のデザイナーとして働きながら、趣味で好きな料理を習うべくフランス料理教室に通っていました。趣味が高じてカルチャー教室で料理教室を開くようになる中で、結婚・出産を経験。子供を母乳で育てる際に、改めて食生活の大切さを痛感したと言います。自分が食べたものがそのまま子供の食事となる。脂っぽいものを食べたら脂っぽい母乳になるし、添加物や化学調味料もしかり。
最近は便利な離乳食も増えたし、加工調味料等も増えて楽になった部分はあるけれど、どこまで安全なのか…?
その疑問や不安から毎日の食生活を見直し、その経験をみんなにも知ってもらいたいと考え、自宅での料理教室をスタートさせます。
お出汁って、こんなに簡単にとれるものなの?!
森さんが伝えたいのは、「料理って意外と簡単なんだよ」ということ。
例えば、お出汁。料理番組等を見て大変そう…と敬遠されてしまい、顆粒だしを使っている方が多いが、実は簡単!昆布を鍋に入れて煮立て、鰹節を入れたらしばらく放っておくだけ。難しいことをしなくても簡単にできるやり方がある。
ドレッシングもオリーブオイルにしょうゆと酢とすりごまを加えるだけで簡単に無添加の和風ドレッシングが出来上がる。
「なーんだ。」と言いたくなるくらい、簡単で美味しい、それでいて体に優しいごはんが作れる。そのことをより多くの人に伝えたい!知って欲しい!と思い料理教室で伝えていく中で、料理教室に通うのはなかなか難しい方や遠方にお住まいの方のために、もう少し伝えられる裾野を広げたくて、昨年「Relish食堂」をオープンさせたのです。
森さん(右)と、Relish食堂店長の桑原美保さん(左)。お二人は料理教室を始めた頃からのお付き合いで、実は森さんの生徒第一号なのです。息ピッタリなお二人のコンビネーションからは、仲の良さが伺えてほっこりします。
お客様からの質問に、楽しく談笑しながら答えている桑原さん。こんな風に料理の作り方を聞かれることは日常茶飯事!普通のお店なら聞きにくいことですが、「伝えたい」が根底のお店なので気軽に聞くことができるのです。
Relish食堂が提供するのは、流行りのインスタ映えを意識したようなものではなく、ごくごく普通のお料理。そのまま自宅の食卓に並べることができるよう、珍しい調味料や材料は使いません。一般的なご家庭にあるものだけを使って、老若男女誰が作っても簡単で優しいメニューを提供されているのです。
作ってもらいたい。だから、伝える。
Relish食堂がレシピを公開するわけ。それは「作ってみたい!これなら作れそうだ!」と、思ってもらいたいから。
調味料や材料、調理道具までお店で販売するわけ。いいものを知ってもらいたいから。
すべては、自宅での料理を楽しんでもらいたいからなのです。
自分の体は、自分が食べたものでできている。だからこそ、体に優しいごはんを日々とってもらいたい。
でも料理することが面倒だったり難しかったら、作ることが億劫になってしまうので、簡単にできる方法や美味しくて安心な調味料等、日々発信を続けているのです。
そうやって食事や材料に向き合い丁寧に暮らすことは、社会問題の取り組みにもつながると、森さんは言います。
材料を大切にすることで食品ロスの削減につながったり、ペットボトルのお茶をやめてお茶を沸かすことでプラスチックごみが減少したり。大きな何かをできるわけではないけど、ひとりひとりの小さな一歩が、世の中に影響を及ぼすほどの力になることがあるのではないか、と。
日本の農家さんは素晴らしいから、無農薬野菜が気軽に買える場を設けたい。無添加で作られたハムやごま製品で美味しいものがあるから知って欲しい、などなど。森さんの「知って欲しい欲」は止まりません!
毎週土曜日に有機・減農薬野菜を中心とした食材を集めたマルシェを開催したり、年に2回約20店舗が出店する天王山ファーム&フードマーケットを開催したり。様々な「いいもの」を伝えていくべく、森さんの挑戦はこれからも続きます。
森さんは、もう1店舗「レリッシュ(生活雑貨と暮らしの教室)」も運営されており、こちらは料理教室と雑貨や調理道具、食品等のショップが併設されているお店になっています。
ショップで取り扱われている商品の多くは、料理教室や食堂で使用しているもの。調理道具や食器だけではなく、ランチに出す料理の出汁に使っている昆布や鰹節、醤油や米酢に至るまで取り揃えています。(食品等ははRelish食堂でも販売しています。)これも、森さん流の「知って欲しい!」。使い勝手の良いものや長持ちするもの、美味しくて体に優しいものは自宅でも使ってほしいのだとか。
いかがでしたか?
森さんが開催するマルシェ等様々なイベントは、下記HPで告知しておりますので是非チェックしてみてくださいね!
また、ご紹介した「レリッシュ(生活雑貨と暮らしの教室)」は、1月8日に移転してリニューアルオープンを予定しています。町家風の古民家を一部リノベーションし、お庭で料理教室に使う野菜等を自家栽培するそうです。今よりもかなり広いお店になり、パワーアップ予定なのだとか!
リニューアル後のお店は年明けのキラリオマガジンでもご紹介予定しますので、楽しみにお待ちください♪
<Relish食堂>
〒618-0071
京都府乙訓郡大山崎町大山崎鏡田20-14-1F
TEL:080-2522-4468
【営業時間】
11:00〜15:00(短縮営業)
※ランチはご予約優先です。食堂の最新情報はinstagramでお知らせします。
定休日:毎週日曜・月曜(祝日は営業、翌火休)夏期・冬期休業あり
<レリッシュ(生活雑貨と暮らしの教室)>
〒618-0071
京都府乙訓郡大山崎町大山崎西谷4-6-2F
TEL:075-953-1292
【営業時間】
10:30〜16:00 火〜日・祝日
※2020.9月〜現在上記時間にて短縮営業です
※夏期・冬期休業あり
定休日:毎週月曜(祝日・10日は営業、月曜祝日の翌火曜日休業)