「健康と美容にいい」とは知りつつも、「苦くて美味しくなさそう」というイメージが強かったり、難しくて専門的な知識が必要な気がして敷居を高く感じてしまう「薬膳料理」。
実は身近にある食材を使って気軽に作ることもできたり、普段の食生活に自然と取り入れることも可能なんです。
今回は、京都で薬膳家として活動されている「HAHAHAUS(ハハハウス)」代表 acoさんにお話をお伺いしてきました。acoさんの薬膳ドリンクを提供されている、コーヒースタンドとショップ、ギャラリー併設の「Community Store TO SEE」さんをお借りして、今の時期におすすめの薬膳料理の作り方も教えていただきましたので、是非ご覧ください。
体調を崩してから気が付いた、母親のありがたみ。
薬膳家acoさんこと中西暁子さんは、実は岡山県出身。大学への進学を機に京都で一人暮らしを始めたことが、京都に移住したきっかけです。
大学卒業後、アパレルショップに10年ほど勤務するのですが、その当時は薬膳家とはほど遠い生活を送っていたのだとか。元々、母親が自然食品を普段の食事に取り入れていたり環境問題に取り組んだりと食に熱心な人だったため、一人暮らしを始めてからは、その反動でかなりジャンキーな食生活を送っていたのです。
ちょうど仕事においても責任あるポジションを任されることとなり、出張や不規則な生活が続いたため、長年の不摂生もたたって体調を崩していきます。初めのうちは体調の悪い状態が普通になってしまい、薬に頼って日々をごまかしながら過ごしていましたが、いよいよ仕事に行くこともできない状態になり、退職を余儀なくされます。
会社やスタッフにも迷惑をかけたと感じた時、自分の体を大切にできなかったら、人を喜ばせることもできないんだ…と改めて実感。母親が食べるものに気を遣い、なるべく自然のモノや旬のモノを取り入れて食べさせてくれていた日々の生活の大切さやありがたみを、身に染みて感じることができたのです。
導かれるように進んだ、薬膳の道。
自分を知り、不調とも上手につき合っていく。
acoさんが仕事を辞めた頃、父親も原因不明の体調不良に悩まされていました。原因がわからず、西洋医学ではどうすることもできなかった時、昔から好きだった作家である吉本ばななさんの「王国」という本に出逢います。
「王国」は、祖母が営む薬草茶作りを手伝う雫石(しずくいし)という女の子が主人公。
acoさんは、導かれるように東洋医学の道に惹きこまれて行き、自然療法や薬膳を学ぶべく学校に通い出したのです。
薬膳を学ぶことでacoさんが気づいたこと。それは、「自分を知ること」の大切さでした。
一言で「体調不良」と言っても、その原因は様々です。今までは、何となくしんどいな、とか体調が悪いな、で片づけてきました。でも大切なのは自分の内面に目を向け、自分の体の声に耳を傾けることで、自分を知ることなのです。
acoさんは長年にわたって重度の偏頭痛に悩まされていました。これまでは痛くなったら頭痛薬を飲んで痛みを鎮静させてきたので、薬は手放せない存在でした。しかし、今はなぜ頭が痛いのかを自分と向き合うことでゆっくりと分析し、その時々の症状に応じた方法で緩和していくようになりました。例えば、気圧が低くなると起こる頭痛は、体内に水が溜まって起こることが多い。そんな時は水を抜く効果のあるお茶を飲んで症状を和らげます。甘いものを食べ過ぎて起こる頭痛は胃腸の冷えからくるもの。そんな時は体を温める効果のあるものを口にします。
そもそも東洋医学の考え方は、不調を抑え込むのではなく、不調を見つめ、自分なりにバランスをとりながら上手につき合っていく、というもの。ありのままを受け入れて、きちんと原因を明らかにすることでカラダとココロのバランスを整えていくものなのです。また、不調や症状はひとりひとり違って当たり前。人それぞれの不調の原因があり、それぞれの対処法で上手に緩和させることを大切にした考え方なのです。
「原因不明」と言われることにより不安が不調に拍車をかけているように見えた父親の存在があったため、この考え方はacoさんにとって、とてもしっくりくるものでした。また、自身が感じた不調にも原因があったのだと知れたこと。自分が感じたことは間違っていなかったのだと感じられたことは、何かに「許された」ような安心感に包まれたのでした。
季節や自分の体質、体調に合った食材を選ぶことが薬膳の第一歩。
「薬膳料理」と聞くと、特別な食材をいくつも用意して作るイメージですが、実はそうではないのです。
薬膳の基本的な考え方は、すべての食材には効能がある、というもの。大切なのは自分の今の体調や体質に合わせたものを取り入れることなのです。冷えてるなら温める食材を。のぼせてるなら冷ます食材を。
また、その土地土地で育った旬の食材を取り入れることもエネルギーにつながるのだとか。
京都では、毎年6月30日に半年間の汚れや邪気を祓い、残る半年の健康を祈願する「夏越の祓(なごしのはらえ)」という日があって、その日に水無月(みなづき)という京都の名産である小豆を使った和菓子を食べる風習があります。小豆はむくみを取る効果のある食材で、京都は夏の湿度が高い地域のため、小豆をこの時期に食べることはきちんと理にかなっているのです。
こんな風に、きっとみなさんの地元でも長年受け継がれている食文化があるはず。それは、実はカラダとココロの栄養に効果があることなのかもしれません。
夏には夏の食材を食べて余分な熱を取り、冬には冬の食材を食べて体を温めることも、胃腸の調子が悪いときにお粥を作って食べることも、立派な薬膳料理なのです。
「気 血 水」を巡らせる。
敷居が高いと思われがちな薬膳。acoさんは、誰でも気軽に日々の暮らしに取り入れて欲しいという想いから、お茶の販売をメインに行っておられます。元々は、カウンセリングをして、その人それぞれの体質や体調に合ったお茶をブレンドするところからスタートされたのですが、今はコロナの影響もあってなかなかカウンセリングの場が持てず、オンラインショップがメインになっています。
acoさんの作るお茶は、約100種類弱の薬膳や茶葉の中から東洋医学の陰陽五行説に基づいて数種類をブレンドしています。
私たちのカラダに必要な「気 血 水」の3大要素は、体内を常に巡りバランスを取り健康を保っています。これらの巡りが滞ったり過不足をおこすとカラダに不調を感じます。「気 血 水」の何が滞ったり過不足をおこしているのかは、人それぞれ。自分に合ったお茶をセレクトすることで、ココロとカラダが休まるひと時を見つけてもらえれば、と願っています。
また、こうやって「自分はどんな体なんだろう?」と考えるのも、とってもいいこと。お茶を飲みながら、自分自身のココロとカラダに目を向ける時間を作るところから、始めてみてもいいかもしれません。
HAHAHAUSのパッケージには「了解自己的時間」という文字が書かれています。これは、「自分を知る時間」という意味。忙しい毎日ですが、少し立ち止まり、「自分を知る時間」を心休まるお茶と共に、過ごしてみませんか?
自律神経を整える、春の水餃子と薬膳香味だれ。
せっかくなので、acoさんに今の時期におすすめの薬膳料理を作っていただきました。
「春の水餃子と薬膳香味だれ」
春は「肝」という自律神経を主る臓腑が影響を受けやすい時。イライラしたり、お腹が張るなどストレスを感じるのは肝の弱りです。そんな時、香りの良い香味野菜は気を巡らせます。
また、気温が上がってくる時期ですが油断して体が冷えたり風邪をひきやすい季節でもあります。邪気を跳ね飛ばし体を温めるネギや生姜をたっぷり入れた水餃子と気を巡らせる大葉を使った香味たれをご紹介します。
薬膳香味だれは作り置きしておくと、お豆腐やお鍋のつけだれや蒸し鶏のソースなどにも使えますよ♪
大葉のかわりにパクチーや三つ葉で代用するのもおすすめです。
餃子 ※レシピ 2〜4人分
・餃子の皮 40枚
・豚挽肉(鶏挽肉) 200g
・キャベツ 4分の1
・☆白ネギ 1本 (半分はタレ)
・☆大葉 10枚 (半分はタレ)
・☆生姜 60g(3分の1はタレ)
味付け
・★酒 大2
・★醤油 大2
・★オイスターソース 大1
・★ごま油 大1
薬膳香味だれ
・◎醤油 大1
・◎お酢 大1
・◎ナンプラー 大2(お好みで)
①野菜をみじん切りにする。
キャベツは塩をふり少し置いて水分を出して硬く絞っておく。
☆の野菜はたれ分と分けておく。
②常温に戻した挽肉に★の調味料を加え粘りが出るまで混ぜる。
③全ての野菜と味付けした挽肉を満遍なく混ぜ合わせて餃子の皮で包む。
④たれは◎の調味料と☆の刻み野菜を混ぜておく※冷蔵庫で3〜4日保存可
簡単できあがりっ!!
体も温まるし、大葉としょうがが効いてさっぱり仕上がっているので、いくつでも食べられちゃいます。お子さんも絶対好きな味なんで、是非ご家族でも試してみてくださいね。
いかがでしたか?
3月10日〜14日 「Community Store TO SEE」にて、薬膳家のacoさんが運営する「HAHAHAUS」も出店するポップアップイベントが開催されます。このポップアップ期間中は工芸・手仕事の作り手を紹介するイベント「Kyoto Crafts Exhibition DIALOGUE + 」のサテライト会場にもなっています。是非足を運んでみてくださいね。
http://kougeinow.com/
遠方の方は、是非オンラインショップで自分に合ったお茶を探してみてください!
また、次週は今回取材場所にご協力いただいた「Community Store TO SEE」さんをご紹介します!acoさん提供のスペシャル薬膳ドリンクもご紹介しますので、是非楽しみにしていて下さいね♪
<HAHAHAUS(ハハハウス)>
オンラインショップ
https://hahahaus.stores.jp/
Instagram
https://www.instagram.com/hahahaus_kyoto/
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