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廃材をアップサイクル!

新しい命を吹き込む「副産物産店」。

みなさんは、「クリエイティブリユース」という言葉をご存じですか?
家庭や企業から日常的に排出される廃材や端材を、人のクリエイティビティー(創造力)によって、これまでになかった魅力的なものに生まれ変わらせる取り組みのことを言います。
リサイクルの概念を超えた廃材の再利用法として注目されていますが、京都にも廃材に新たな命を吹き込む活動をされているところがあります。

その名も、「副産物産店」。
一体どんな場所、活動なのか?主催者の方にお話をお伺いしてきましたので、是非ご覧ください。

毎月第2土日だけ現れる「副産物産店」。



副産物産店は、京都・二条城の北側に位置するアートスペース「kumagusuku SAS(クマグスク サス)」の1階で、毎月第2土日だけ開催されています。

企画・運営しているのは、12店舗が入居する小規模アート複合施設「kumagusuku(クマグスク)」のオーナーである矢津 吉隆(やづ よしたか)さんと、フリーペーパー専門店「只本屋(ただほんや)」オーナーの山田毅(やまだ つよし)さん。

アーティストのアトリエや展覧会の会場、芸術大学の教室などから出る魅力的な廃材を「副産物」と呼び、収集・加工・展示・販売までされているのですが、なぜ廃材に注目されたのか等、お二人を取材させていただきました。

廃材をアップデート。







副産物産店は、京都市立芸大が2023年に京都駅の北東エリアに移転するにあたり、その移転計画の設計チームにお二人が入ったところから始まります。
矢津さんと山田さんは、それぞれ時代は違いますが京都市立芸術大学に在籍しており、それ以外でも移転予定地での場作り的な活動を行っていたため、設計チームのリサーチ担当を任されることになったのです。

建築家と一緒に芸大の機能をアップデートさせようとアイデアを出している時に出たのが、資源循環の問題でした。
芸大では、日々様々な廃材が排出されます。
版画の刷り損じや陶芸で釉薬の確認をするために焼いた陶器、失敗した絵画や使わなくなった絵の具等々。
芸大のゴミ捨て場は生徒から「宝の山」と呼ばれており、持って帰って再利用したり自身の作品に生かしたりすることも多々ある状況でした。
捨てられているものだけど、その中には面白いものがたくさんある!これを再利用し、アップデートさせる仕組みを考え始めたことが、後の「副産物産店」につながっていくのです。

ひらめきにより生まれる、新しい価値。



副産物産店が本格始動したのは、2020年。
それぞれが経営するお店を運営する傍ら、アーティストとしても活動されているお二人のネットワークを使って芸大やアート展会場等から仕入れを行い、「副産物」に新たな価値を創造していきました。
仕入れは1個1個買い付けるというよりも、まとめていくらという形で仕入れます。その中から、そのまま売るものや加工するものに振り分けていくのです。

だいたいのものは、「副産物」を見た時のインスピレーションで何に仕上げるのか決めていきます。
作業場にある机や椅子も「副産物」を使って作られたものが多く、これまでにも様々な「副産物」を別のものに加工してきた経験から、今では「副産物」を見た瞬間に「これが作れるんじゃないかな?」というアイデアがひらめくそうです。

また、この加工の技術はワークショップや芸大の授業で伝えていくこともされています。
ワークショップは、「副産物」を使って作る椅子作りが特に人気だそうで、みなさんこの世に1つしかない椅子を持ち帰られるのだとか。



「kumagusuku SAS」は、以前キラリオマガジンでご紹介した「MAGASINN KYOTO」のちょうど裏手にあります。
トンネルのような路地を抜けると、京都らしい風情が漂う町家の左手に見える開放的なスペースが目を引きます。



「kumagusuku SAS」のオーナーであり、副産物産店の共同代表である矢津 吉隆さん。
手にもっている作品は、まさに自身の作品の「副産物」。今からこれを解体し、新しい作品を生み出すのだとか。







「kumagusuku SAS」は、副産物産店の作業場でもあります。多種多様な「副産物」と、加工するための道具で溢れています。











こちらは、「副産物」を組み合わせて作ったオブジェ。元々のアートに込められた文脈と、新たなアートの文脈がコラボし、まったく新しい価値を生み出しています。



一番右にある赤い木は、実はペン立て。赤いペンキで塗られた「副産物」の真ん中にペンを立てるための穴を開け、青いパテで配色しました。「MAGASINN KYOTO」の受付にも、副産物産店のペン立てが置かれているそうですよ。



実用的なキーホルダー等は、雑貨店が集まるマルシェや蚤の市、無印良品店や東急ハンズでの出店の際はよく売れるそうです。アート展等のイベントで出店する際は、アートに触れるものの方が反応が良いのだとか。
出店先によってお客様の反応も変わってくるので、何を出品しようか考えるのもまた、楽しいのです。

「副産物産店」を全国へ。



昨年あたりから、ようやく「副産物産店」としてのビジネスモデルが構築されてきたと語るお二人。
今は新たな拠点の開拓に日々走り回っておられます。

これまでに収集してきた「副産物」たちを京都だけでなく全国に向けて発信できるように、物流拠点やお店の開業を計画中なのです。
現在進行中なのは、茨城県にあるJR「取手」駅の駅ビル「アトレ取手」にオープンした、文化交流施設「たいけん美じゅつ場 VIVA」との取り組み。アートを介してコミュニティをつくることを目指すVIVAのコンセプトにマッチしたことから、この施設の中に副産物産店の仕組みを取り入れる予定なのだとか。
また、京都の亀岡市役所では、SDGsの取り組みの一環として食堂内に設置予定の「開かれたアトリエ」というスペース内にて、副産物産店は展覧会の企画やアップサイクルの仕組みを作っていく予定です。

「副産物」は、全国各地どこにでもあるもの。それを生かして、実店舗として、物流拠点として、または仕組みの流用として全国に発信していくことで「副産物産店」というものの定着化を目指していきます。



いかがでしたか?
「副産物産店」の概念は、自分たちの日々の暮らしの中にも反映できるものかもしれませんね。
リサイクルやリユースの一歩先。アップサイクルを目指してみませんか?

<副産物産店>
〒602-8126
京都市上京区中書町685-2
TEL:075-432-8168(kumagusuku)
【営業時間】
11:00-17:00
営業日:毎月第2土日

▶HP
https://byproducts.thebase.in/



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