長くなったおうち時間。より快適で心地よい時間を過ごすためにも、身の回りのものは自分のお気に入りのアイテムで揃えたいですよね。ルームシューズもそんなアイテムのひとつではないでしょうか。
ふとした瞬間に目に入る足元がかわいかったり心地よい履き心地だと、テンションもグッとあがりますよね♪
今回は、そんなおうち時間のお供にオススメなルームシューズ「バブーシュ」の専門店、「unm(ウンム)」のオーナー中尾麻里さんにお話をお伺いしました。色とりどりでかわいいバブーシュもたくさん登場しますので、是非ご覧ください。
モロッコの履物「バブーシュ」。
「バブーシュ」とはモロッコの伝統的な履物で、簡単に説明すると本革でできたスリッパです。
カラフルな刺繍や、キラキラかわいいスパンコールやビーズが散りばめられたものが多く、雑貨屋さん等で目にしたことのある方も多いのではないでしょうか。
そんなバブーシュを日本で専門的に取り扱っているのが、今回ご紹介する「バブーシュ専門店 unm(ウンム)」。
「unm」とはモロッコの現地語で「おかあさん」という意味です。バブーシュのお母さんになって育てて欲しい、という想いを込めて名づけられました。
バブーシュは本革でできているため柔らかく、新品は右用も左用もありません。履くうちにどんどん自分の足に馴染んでいき、数日経つとしっくりくるものになっていきます。そんな意味でも、「育てて欲しい」という想いが込められているのです。
SNSを使ってモロッコの業者と直接交渉!
お話を聞かせて下さったのは、「バブーシュ専門店 unm(ウンム)」のオーナーであり合同会社akariの代表、 中尾麻里さん。
元々は看護師のお仕事を10年間されており、バブーシュのことは何も知らなかったそうです。
現在中尾さんは4人のお子さんを育てるママさんですが、子供に先天性の病気があったこともあり、3人目のお子さんを出産後病気の対応、子育て、仕事と忙しすぎて意識がもうろうとする日がありました。ふらふらと家の階段を降りていたら、その時履いていたスリッパが脱げて滑り、階段から落ちそうになったのです。
あわや大けが!というこの出来事から、中尾さんは安全で履きやすいスリッパはないか、とネットで探すようになります。
そこで目にしたのが「バブーシュ」でした。
かわいくて履きやすそう!と思うものの値段が高い…。何でそんなに高いのかいろいろ調べていくうちに、モロッコで作られたものが日本の会社を経由して届けられていることで値段が高くなってしまっていることに気がつきます。
モロッコから直接仕入れたら安くなるのでは?!そんな単純な発想から、すべては始まりました。
その後中尾さんは、Instagram等のSNSを使ってモロッコの業者さんに直接連絡し、バブーシュを送ってもらうようお願いします。1足だけ送ってもらうと送料が高くつくことや、10足まとめて発注すると刺繍の色を好きな色に変えられることもあり、Facebookを通じて欲しい人を募りました。これが意外と反応があり、「私も欲しい!」とメッセージをくれる方がたくさんいらっしゃったのです。
需要の高さに驚きながら、これはビジネスチャンスがあるのではいかと考えるようになります。
看護師からバブーシュ専門店のオーナーへ。
子どもの看病のため、正社員からパートに切り替えて副業としてバブーシュの販売を行っていた中尾さん。当時バブーシュを専門的に扱っている会社はほとんどなく、日本で5・6社ほどが雑貨の一部として販売している程度でした。
ビーズや刺繍を変えるだけでも個性がでるしかわいくなるのに、オリジナルのバブーシュを作っているところはほとんどありません。専門店として特化すればお客様も喜んでくれるはず!
バブーシュ専門店として動き出そうとしたその頃、子どもの手術と看護師の仕事の繁忙期が重なり、自身も発達障害をもっていた中尾さんは、組織に適応しながらすべてをこなすことが難しくなってきていました。
そこで、思い切ってバブーシュ専門店への専念にシフトすることを決意します。
こうして2018年4月。「合同会社akari」を立ち上げ、晴れてバブーシュ専門店としてスタートを切ったのです。
中国等で生産されているバブーシュは機械を使って大量生産されたものも多いですが、モロッコのバブーシュはひとつひとつ手作業。そのため、同じ柄のバブーシュを発注しても、縫う人のニュアンスによってビーズの数や柄がほんの少しずつ違ってきます。
日本のメーカーなら少しの違いでも不良商品にみなされてしまいそうですが、そこはモロッコ!「これも味よ!」と、その個性をも楽しむ風土があります。
同じもののようで同じでない。同じデザインでもこの世に1つしかないもの、というのもバブーシュの魅力のひとつとなっています。
運気が上がると人気の「風水バブーシュ」。こちらはシルバータイプですが、金運UPのゴールドタイプもあるんですよ♪
かかとがぺたんこになっているデザインが特徴のバブーシュは、スリッパのように簡単に履けるのに足に馴染むから脱げにくいのがいいところなんです。
星と月のデザインがかわいい「おやすみバブーシュ」。キラキラしたスパンコールがデザインとマッチしていますよね。
「unm」の商品はすべてオリジナルデザイン。
中尾さんが手書きでデザインを描き、翻訳機を使って一生懸命モロッコの工房に伝えます。
このデザイン、この刺繍、と明確に指示しても「こっちの方がかわいいと思って」と、勝手に指示を変えて送られてくることもしばしば。モロッコとの商習慣の違いに戸惑うことも多々あるのだとか。
工房機能を日本へ。
初めはモロッコに発注をかけて出来上がったものを輸入していましたが、コロナの影響でモロッコからの輸入が思うようにできなくなったため、現在は日本でも製造の機能を担えるよう日本の事務所に工房機能の一部を移行するよう進めています。
事務所では中尾さんの他に3人のスタッフがECサイトの運営や製造を行っていますが、事務所に勤務する方もいれば材料を持ち帰って在宅で製造を行う方もいます。
自身が発達障害により外で働くことが難しかった経験から、何かしらの事情で会社勤めができない方でも働ける環境作りに努めているのだとか。
工房機能の一部を移行しているのには、もうひとつ理由があります。モロッコに発注すると、良くも悪くも依頼通りにならないことが多々あります。それはそれでいいものになる場合もあれば、デザイン通りのものを作りたい時もあります。
また、モロッコの方は自由な気質のため、発注しても納品されないこともしばしば。
日本に工房を構えることで、安定した品質と供給を担保することも狙いなのです。
バブーシュ作りを少し見せていただきました。
まずは、型紙に合わせて革をカットし、甲の部分に装飾を施していきます。
デザインに沿って、刺繍やビーズ、スパンコールを配置していきます。
刺繍やビーズの色を変えるだけでも全然違うものになるので、気軽に自分だけのオリジナルバブーシュを作れちゃうのも嬉しいポイントですよね。
甲とかかと部分をつなぎ合わせ、底を縫い合わせたらバブーシュの完成です。
ここまですべて手作業なんですから、時間もかかりますよね…。
自分と同じ環境に悩む人たちをフォローアップできる存在でありたい。
中尾さんに今後の夢を聞いてみたところ、二つの答えが返ってきました。
一つ目は、店舗を持つこと。
これは、実はもう実現手前まできています。現在宇治市に事務所兼工房を構えていますが、その近くに店舗をだせる物件を探し中なのです。店舗をだすことでよりお客様のオーダーに応えやすい環境を整えたり、実際に手で触れて履いてみることでよりバブーシュの魅力を伝えられる場所を作りたいと考えているのだとか。
二つ目は、福祉に関わること。
子どもの先天性の病気や自身の発達障害により、様々な苦難を乗り越えてきた中尾さん。しかし、起業することで自分らしく働ける場所を見つけ、それまで見てきた世界とはまったく違った世界を見ることができました。その経験を多くの方に発信することで、起業することは意外と身近なものだということを伝えていきたいと考えています。
工房やお店を構えることも、実はそこにつながっているのです。
いくら起業が身近なものだと言っても、誰でも簡単に起業したり行動を起こしたりすることができるわけではありません。そんな方でもイキイキ働ける場所があったり、子育てや病気に悩むお母さんをケアしながら少しでもお金を稼げる環境を提供することができれば、それがゆくゆくは福祉問題への取り組みにつながるのではないかと、中尾さんは語ります。
どんな環境であっても、常に前向きに、常に明るく、パワフルに行動してきた中尾さん。
これからもきっと、止まることなくひとつひとつの夢を実現していくのでしょう。
いかがでしたか?
HPやインスタグラムでは、カラフルでキラキラした装飾のかわいいバブーシュがたくさん紹介されています。出産祝いに人気のベビーバブーシュやドラマで使用されたバブーシュなどなど、思わずキュンキュンしちゃうかわいいバブーシュがたくさんありますので、是非チェックしてみてくださいね♪
<バブーシュ専門店 unm>
合同会社 akari
〒611-0043
宇治市伊勢田町南遊田6-21
▶HP
https://unm331.com/
▶Instagram
https://www.instagram.com/unm331/?hl=ja