ここ数年でよく耳にするようになった、「グルテンフリー」というキーワードをご存じですか?
グルテンとは、小麦やライ麦などの穀物から生成されるタンパク質の一種のことで、グルテニンとグリアジンが水を吸収して混ぜ合わさったものを指します。小麦粉アレルギーをもつ方は、このグルテンを摂取することによって様々な症状を発症してしまいます。
そこで、小麦粉の替わりにグルテンフリーである米粉を使ったおやつや食品が、小麦粉アレルギーの子どもでも美味しく食べられるということで注目を集めています。また、グルテンフリーの食品は腸内環境の改善に効果的ということでも広く取り入れられています。
今回は、そんなグルテンフリーである米粉や身体に優しい原材料にこだわることで、誰でも安心して美味しく食べられるおやつ作りを目指している「アンダーツリー」さんをご紹介したいと思います。是非ご覧くださいませ。
小麦粉アレルギーだった甥っ子が、みんなと同じものを食べられるために。
「アンダーツリー」は、以前キラリオマガジンでご紹介した「フリースペース ヨルの真ン中」の中にあるお店で、商品はすべてオーナーでありパティシエの木下佑子さんが「ヨルの真ン中」内にある工房内で手作りされています。
木下さんは、元々は街の洋菓子店でお菓子作りの仕事をしていましたが、結婚・出産のために退職。子育てが落ち着いた頃、趣味で身内のためだけにお菓子作りをするようになっていました。
そんな時、甥っ子が小麦粉アレルギーだったため、みんなと同じものを食べられない姿をみてかわいそうに感じ、何とかしてあげたいと思うようになります。そこで取り組んだのが、米粉を使ったお菓子作り。
初めは、変わらず身内に配ったりするのみでしたが、マルシェに参加したり少しずつ一般の方にも食べてもらう機会が増えたことで評判が口コミによって伝わり、「ヨルの真ン中」がオープンしたのをきっかけに常設店舗をもつこととなったのです。
グルテンフリーだけでなく、身体に優しい原材料を使用。
甥っ子がきっかけで作り始めた米粉のお菓子ですが、意外と大人になってからもアレルギーや体調不良のため食べるものに悩まされている人が多くいることを知り、小さな子どもからお年を召した方まで安心して食べられるお菓子作りを目指すようになります。
「アンダーツリー」で使用している米粉は、こちらも以前キラリオマガジンでご紹介させていただいた「cocodeplanters(ココデプランターズ)」の児島さんが作ったもの。「cocodeplanters(ココデプランターズ)」は環境に可能な限り負荷の少ないオーガニック農法で作物を栽培しているので、グルテンフリーなだけでなく、身体に優しい米粉になっています。
また、お菓子作りに欠かせない卵は、地元宇治の養鶏所で平飼いにより育てられた平飼い卵を使用。「平飼い」とは、ケージ(鳥かご)で育てず、鶏を自由に放して飼う養鶏法のことを言います。平飼いでは、鶏は自由に動き回ることができるためストレスが少なく、よく運動することで健康に育ち、良い卵を産むことができるのです。
小麦粉で作るお菓子やパンは、イースト菌の発酵により発生した二酸化炭素をグルテンの効果によって生地の中に閉じ込めることができるため、焼き上げるとふっくらとした食感に仕上がります。
一方米粉はグルテンの生成ができないのと元々の水分量が多いため、焼くと硬くてぱさぱさした食感になりがちです。
しかし、木下さんの作る米粉のお菓子は、「本当に米粉で作った?!」と疑いたくなるくらいふっくらしっとり!
同じ米粉でも種類によって水分量は違ってくるので米粉による違いももちろんありますが、作る工程での水分調整や焼き加減が仕上がりの違いを生み出しているのです。
コーヒーゼリー作りに密着!
取材当日は、この時期の人気商品であるコーヒーゼリーを仕込まれる、ということで制作工程を見せていただきました。
アンダーツリーのコーヒーゼリーは3層になっているのが特徴で、一番下がババロア。真ん中がコーヒーゼリー。一番上に泡立てた生クリームが乗せてあります。もちろん、すべて自家製です!
オリジナルブレンドのオーガニックコーヒー豆を使用。
コーヒーゼリーに使用しているコーヒー豆は、京都・左京区にあるオーガニックコーヒー焙煎所「caffè micio roast & supply(カフェミィチョ)」さんのもの。スイーツに合う焙煎を、ということでアンダーツリー用にオリジナル焙煎されています。
浅煎りと深煎りの真ん中である「シティロースト」と呼ばれる中深煎りの焙煎具合になっていて、酸味が控えめで苦みやコクが感じられるのが特徴です。
爽やかな苦みとババロアや生クリームの程よい甘さとのバランスが最高で、大人のコーヒーゼリーに仕上がっています。
優しい甘さが幸せな気持ちにしてくれるババロアは、こだわりの卵・砂糖・牛乳で作るオリジナルアングレーズソース作りからスタートします。炊くようにじっくりと火を通すことで、とろーりなめらかな口当たりのアングレーズソースができあがるのだとか。ここにゼラチンと生クリームを泡立てたクリームを混ぜ合わせることで、コク深いリッチな味わいになります。
誰もが、同じものを、安心・安全に、美味しく食べられるお菓子を求めて。
木下さんが現在チャレンジ中なのが、米粉で作るのは相当難しいと言われている「パイ生地」作り。
これまでもタルトは上手くできたことはあっても、なかなかサクサクのパイ生地は作れないのだとか。
「これはこれで美味しいよ」とは言ってもらえるそうですが、木下さん自身が納得できるところまでには達していないのです。
目標は、今も昔も「誰もが、同じものを、安心・安全に、美味しく食べられるお菓子作り」。
そのためにも、木下さんの研究は続きます。
いかがでしたか?
アレルギーをもつ子どもにとって、「みんなと一緒のものが食べられる」って、それだけですごく嬉しいことですよね。「アンダーツリー」では配達やマルシェへの出店等もされてるそうですので、是非Instagram等をチェックしてみてくださいね♪
<アンダーツリー>
〒612-8209
京都府京都市伏見区下鳥羽南六反長長32
TEL:075-748-8815(ヨルの真ン中代表)
【営業時間】
ケーキ販売日(イートイン可)
火曜日~金曜日 12:00~17:00
※ケーキ、焼き菓子のオーダーは随時承っております。配達等も御相談下さい。
▶HP(ヨルの真ン中)
https://yoru-naka.shopinfo.jp/
▶Instagram
https://www.instagram.com/u_____t_____/