お菓子の中でも定番のフレーバーのひとつである抹茶スイーツ。まろやかで甘いものから、苦みや渋みの効いたものまで幅広くあって、どれも美味しいですよね♪ 特に京都にいると、抹茶を使ったスイーツを扱ったお店をよく見かけるように感じます。
今回は、オンライン通販を中心にこだわりの抹茶スイーツが話題の「TREEE'S」の工房を訪れました。ソムリエ兼パティシエの木村さんの抹茶スイーツやお店に込めた思いについて、ぜひご覧ください!
抹茶との出会い
「TREEE'S」の工房は、京都市内の閑静な住宅街の隠れ家的な場所にありました。お邪魔すると、ドアが開いた途端にふわりと甘い香りがしましたよ。
工房の中は、中庭や吹き抜けが解放感を演出してくれるお洒落な空間!
木村さんは、もともとは老舗ホテルのソムリエエクセレンスとして活躍されていましたが、抹茶との運命的な出会いがあり、抹茶とワインはまったく一緒だということに気づいたそうです。ワインは香りや味わい、産地、作り手の想いなど全てが美味しさに直結します。それは抹茶も同じ。そこから木村さんは抹茶の魅力に惹かれ、繊細な嗅覚と味覚の分析能力をいかし、茶葉の品種の特性を使い分け、抹茶のポテンシャルを最大限に引き出した斬新な抹茶スイーツをテーマに、ソムリエである自分にしか作れない抹茶スイーツを追求するようになりました。
ソムリエがつくる抹茶スイーツ
「今の時代、機械でつくる美味しいお菓子が増えています。それももちろん良いものなんですけれど、人の手で作ったものは人にしか出せない美味しさがあると思うんです」
抹茶トリュフを作りながら、そう話してくれた木村さん。その日の気温や天候、時間帯によって繊細に変化するお菓子の状態。素材の状態を見極めるのもお菓子作りの醍醐味。レシピは分量などを数字で表すことが出来ても、人にしか感じられない感覚があるという。材料の混ぜ方ひとつとっても人それぞれの個性が出るもの。同じレシピを元に作っても、10人が作ったら10人それぞれのお菓子が出来上がるのが面白い、そう考えているそうです。手しごとでしか生み出せない感覚と素材の持つ美味しさを引き出すことを大事にされているんですね。
「こうしてチョコレートを混ぜていて、表面がキラキラした瞬間が乳化の時です。お菓子づくりはある意味、お菓子と対話しながら作る感覚ですね」
抹茶の粉がみるみるうちに甘くて美味しそうな生地になっていく様子は、横で見ている私の目もキラキラするようでした(笑)
木村さんの想いは、TREEE'Sのスイーツの中でもグルテンフリーのお菓子を始めるきっかけとなった抹茶ガトーショコラにも表れています。『宇治抹茶アリガトーショコラ』という、一風変わったお名前のこのスイーツは、体調を崩された身内を想って作り始めたのが始まりだとか。
身内の病気をきっかけにグルテンフリーのものしか食べられなくなったことに対して「安心して食べられるスイーツも作りたい」と考えた木村さん。また、海外では当たり前に広まっているグルテンフリーのお菓子を、日本ならではの素材を使い、半年くらいかけて試行錯誤を繰り返し生まれたのがこのガトーショコラ。人を大事に思う気持ちから生まれた、やさしいお菓子なんですね!
「ありがとうって一番ステキな言葉だと思うんです」
アリガトーショコラの名前の由来について尋ねたところ、木村さんはそう語られました。
木村さんは、毎日たくさんの人に支えてもらって今があることを強く実感されているとのこと。ケーキを作るということは、材料を生産する人がいて、それを運んでくれる人がいて、そして作ったものを食べてくれる人がいて……と、人との繋がりがあって初めて出来ることだといいます。そうした思いから、このガトーショコラに『アリガトーショコラ』と名前をつけたそう。人と人との絆がきっかけで生まれたお菓子に「ありがとう」という名前が付けられているのって、とっても素敵ですね♪
アリガトーショコラのパッケージには、世界の言葉で「ありがとう」と書かれています。感謝の気持ちは世界共通という思いがあらわれたデザイン。たくさんの言葉の中に京都の「おおきに」が入っているのも素敵!
アリガトーショコラだけでなく、木村さんの作った抹茶スイーツはどれも抹茶の自然な味が口いっぱいに広がる絶品!
主役はお菓子ではなくオーガニックの抹茶で、どうやったらそれぞれの抹茶の良さが一番引き立つかを考えて、それに合うお菓子を計算して生み出しているとのこと。いくつか食べ比べてみて、一言で抹茶といってもこんなに風味に差が出るのかと驚きましたし、抹茶特有の深い味わいは上品さを感じました♪
特に驚いたのは、ワインにあう抹茶をコンセプトにして作られた『T RICH STICK』。「ワインと抹茶って合うの?」と最初は思いましたが、一口食べてみればナッツやドライフルーツの自然な甘みが程よく抹茶の深みと混ざり合って、たしかにワインが欲しくなる新感覚のお味でした!
「ENJOY THE GREEN」
「らしさ」や好きなものを形にする楽しみ
「僕たちの人生そのもの、ライフスタイルがそのままお店になっているんです」
木村さんは好きなことを大切にしながら、お店を作り上げています。
「TREEE'S」というお店の名前も、好きなものをはじめとした色々なものが掛け合わさって作られたもの。パティシエの生み出す抹茶スイーツのグリーンとフラワーデザイナーが生み出すボタニカルグリーンの奇跡的な融合によって生まれた唯一無二の世界観に、自分の名字である「木」にかけてこの名前に決められたそうです。他にもスイーツの原料である茶葉やカカオ、そしてワインの原料のぶどうが全て木から出来ているため、それら全てを繋げていく思いも込められているとのこと。「TREEE'S」さんのWEBサイトも植物の写真が数多く使われていて、ボタニカルな緑が印象的だと感じましたが、好きなものを掛け合わせて自分らしくやっていく在り方が反映されているんですね。
また、ユニフォームの左肩の部分に縫われている「DEEP-ROOTED TREE OF KYOTO」という言葉は「TREEE'S」の経営理念として大切にしている考え。京都に深く根差した木という意味を表すこの言葉は、同志社大学商学部高橋ゼミの皆様とのご縁により、一緒に考えてくれたフレーズだそうです。人との関わりがお店を作っていることが分かる、素敵なエピソードですね!
「色々なものが合わさってTREEE'Sが出来ているけれど、1つ1つの根底には全てシンプルイズベストの精神を大事にしているんです。自分たちらしく、チームみんなで毎日楽しみながらやっていますよ」
そう話す姿はとても楽しそうで、本当に好きなことをされているんだなと感じました♪
いかがでしたか?
「TREEE'S」の工房は、木村さんたちの「好き」という気持ちが溢れているのを感じられる、とても温かい雰囲気の工房でした。
なかなか落ち着いて外食ができない昨今の情勢の中、オンラインでスイーツを注文する機会も増えていると思います。休日のほっと一息つく時間に、みなさんも「TREEE'S」さんのこだわりの抹茶スイーツを食べてみてはいかがでしょうか。
▼TREEE'S
毎週月曜日販売
ホームページ:https://treees.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/treees_kyoto/