2022年の七夕当日、幼稚園から帰ってきた5歳の娘の手には、願い事を書いた短冊が握られていました。
「おおきくなったら、らぷんつぇるになりたい‼」
ラプンツェルを観たことはないぞ?という疑問はさておき、娘はラプンツェルと同じ紫の洋服を好むようになり、髪を伸ばし始めました。
夜になり、お祝いのちらし寿司を囲む食卓で、3歳の息子にも「おおきくなったらなにになりたい?」と聞いてみました。ちらし寿司に少しだけのせたイクラを一生懸命探す息子。少し考えてから返ってきたのは「ボクはボクのままでいいよ」という一言でした。
今の自分が好き
(photo by cotonowa)
息子は電車が大好きです。家には、収納ボックスに入りきらないほどのプラレール。自宅にある100冊を超える絵本の中から選ぶのは、必ず電車のおはなしです。そんな息子だから、私は「電車の運転手さんになりたい」といった答えを想像していました。そこでまさかの「ボクのままでいい」発言。一瞬固まった私に、「今のボクが好きだから、それでいいの」と付け加え、「それより、イクラまだある?」と言われた瞬間、固まった身体から力が抜けて、大笑いしながら息子を抱きしめていました。
目標がないといけないの?
「大きくなったらなにになりたい?」
幼い頃から当たり前のように何度も聞かれた言葉です。それに対して、迷いなく答えられたことがどれくらいあったでしょう。
目標を定め、それに向かって生きることが、正しく、美しいと思って疑わなかった10代。
自分に目標や夢が無いことに焦った20代。
そんな中、沢山の出会いや経験を経て迎えた30代。今、私が大切に思うのは、「目標があってもなくても、今を懸命に生きる」ということです。
“今ここ”の尊さを教えてくれる子ども達
子育てしていると、先のことなどお構いなしで今この瞬間を生きる子ども達の姿を目の当たりにします。
たとえば、朝から降り続く雨に鬱々としていた、とある夏の日。夕方早々にお風呂を済ませ、パジャマに着替えたところで、雨が上がったことに気づいた子どもたち。
「お散歩にいきたい!」
え……、今から?せっかくお風呂に入ったのに汗かくし、夕飯の支度もしたいのに……と、小言が頭をよぎりましたが、わくわくしている彼らの姿に負け、散歩に行くことに。
そこで見た、雨上がりの空の美しいこと。「お空、きれいだね!お散歩して良かったでしょ?」と言われて、ハッと気づくのです。
人生、今を楽しんだモン勝ちなのでは……?!と。
「無いもの」ではなく、「あるもの」を見つめて
未来のことを心配したり、逆に未来に期待しすぎたりして、今の生活が疎かになっては本末転倒。
私にとって「今の生活を大切にする」というのは、目の前の子供に向き合うこと、目の前の家事をこなすこと、目の前の仕事に全力で取り組むことです。それらに真摯に向き合うことは、きっと明るい未来にも自然と繋がっていくはず。
七夕の日に書いた日記の最後には、「子ども達へ。今日もまた、大きな気づきをありがとう」と書いてありました。
日々、朗らかに生きる先には、どんな世界が広がっているのでしょう。今を大事に、と言いつつも、未来がちょっぴり楽しみな今日この頃です。
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