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好きは巡る

~時を経て、カタチをかえて~

好きな事や好きな人との間に、いつの間にか距離ができてしまうことがあります。
私自身、大好きな趣味や友人との間に、自然と距離ができてしまった時期が数年間ありました。その背景にあったのは、育児です。
子どもが生まれて5年。目の前の彼らに向き合う事で精一杯だった期間を経て、趣味を楽しみたい気持ちが再燃しはじめたのは、最近のことです。最後は夫に背中を押され、先日、大好きだったキャンプに家族で行ってきました!キャンプに行ったのは実に6年ぶり、子どもができてからは初めてのことです。
今回は、久々のキャンプで感じた「好きなことと出会いなおす」ことについてのお話です。

好きだけれど、離れることが必然な時期もある

10年前、趣味は何ですかと聞かれたら、「アウトドア」と答えていました。週末は山登り、連休があればキャンプに行きましたし、アウトドアの会社に転職したこともありました。



そんな大好きだったアウトドアですが、子どもが生まれてからはすっかり縁遠い存在に。
それでも、当時は寂しいとも、不自由だとも思いませんでした。私は育児に集中したかったし、それが一番の優先事項だったのです。

6年ぶり。子ども達は初めてのキャンプへ



金木犀が優しく香りはじめた頃、「そろそろキャンプに行ってみない?」と言ったのは夫の方でした。少し考えてから小さな決意をして、「行ってみようか」と返事をしました。
キャンプは6年ぶりで、子どもが生まれてからは初めてです。寝袋を追加したり、子ども用のベンチを買い足したりして装備は整えたものの、どうなるか当日まで不安でいっぱいでした。
夜は冷えるのに、防寒対策は万全かな?車酔いしたらどうする?もし熱が出てしまったら?
あれこれ不安を口にする私に夫は、「不自由さを楽しみにいくようなものだからね」と一言。その時は、心の中で「なんて能天気なんだろう」と思いましたが、それこそがキャンプの醍醐味だった事をすっかり忘れていたのは、私の方でした。

子どもというフィルターを通して思い出す、キャンプの楽しさ



キャンプに行って一番良かったことは、子ども達の楽しそうな表情を沢山見られたことです。ペグを打ち込んだり、シュラフを広げて寝転んだり、焚火に使う木の枝を集めたり。
小さなことですが、子ども達の目は、大冒険に挑む探検家のようにキラキラ輝いていました。



初めて見る焚火。昼間のうちに集めた木の枝がパチパチ燃える音。冷える身体を温めながら、ゆらめく炎を見て「きれいだね」と呟きます。



食べなれた献立の夕食も、外で食べるだけで特別なご馳走に。お手伝いがはかどるのもキャンプマジックでしょうか。「真っ暗なのにお外でご飯食べるなんて、ドキドキするね!」「野菜を洗った時、お水がすごく冷たかったよ!」など、楽しい冒険の話は尽きません。



そしてあっという間に夜になり、頭上には満天の星空が広がります。「お星さま沢山あって、一番星がどれだか分からないよ」と、困り顔で笑う子ども達。
テントで眠れるか心配していましたが、横になって5分で深い眠りについていました。



心配していた夜の寒さもなんのその。翌朝は朝日と共に目覚めて、朝食づくりに精を出します。
朝特有の凛とした空気の中、家族で囲む朝食。珈琲を淹れてゆっくりしていたら、あっという間にチェックアウトの時間になってしまいました。



こうして無事に終了した佐藤家初のファミリーキャンプ。子ども達が楽しんでいるのを見て幸せを感じたり、童心に戻って自然に触れあったり。懐かしさだけではない、新たなキャンプの楽しみ方が見いだせたような気がしています。

何度でも出会いなおして、また好きになる



今回のキャンプで感じたことは、好きだった事と出会いなおす楽しさです。
ある一時離れてしまったとしても、本当に好きであれば、何度でも出会いなおせる。その度に、懐かしさと、新しい楽しさに出会えるとするならば、離れた期間も無駄ではないなと思うのです。



もし今、子育てに一生懸命で趣味から遠ざかっている人がいたら、近い将来また出会いなおせる日が来ること、そしてそれはとても楽しいことをお伝えしたいです。その時の胸が高鳴る感覚や、新たな発見を楽しみに、目の前の日常を一生懸命生きる。そうしてハレとケを巡る日常こそが、朗らかな日々なのだと信じています。

顔写真
Profile 佐藤ちえみ
京都在住のフリーライター。京都好きが高じて、家族で京都に移住し4年目。京都・子育て・暮らしをテーマに執筆活動する傍ら、プライベートでは3歳と5歳を育てる二児の母。

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