好きな空間で、好きな人と、好きなように過ごす。
勉強・部活・バイトに明け暮れた10代後半の頃、大人になったらそんな自由時間が沢山あるのだと思っていました。
ところが実際は、仕事・家事・育児と、やるべきことに追われる毎日。性質の違うタスクを同時にこなしながら、限りある時間と折り合いをつけてやっていく。かつて想像していたような自由時間は、相当の努力しなければ捻出できないと知りました。
学校でも家庭でもない。昔から私を支えてくれたサードプレイスの存在
「サードプレイス」という言葉をご存知ですか?文字通り「第三の居場所」を意味し、主に子どもにとっての、家庭でも学校でもない、3つめのコミュニティのことです。
子どもの頃、私の心の拠り所は習い事の場にありました。
(小学2年生から始めたソフトテニス。週末が待ち遠しかったのを思い出します)
学校でのいざこざや、悩ましい人間関係、家でのぐうたら感もない。友達と好きな事に打ち込んだり、終わった後にひたすら喋ったり。学校も年齢も違う人との交流がとても心地よかったのを覚えています。
大人になると、日々の暮らしの中で、誰もがさまざまな肩書を背負って生きていますよね。娘、母、妻、職場での顔。生活のあらゆる場面で、その肩書に合わせたふるまいを、無意識に使い分けながら。
そうした「役割」をリセットできる場所があると、すごく安心してリフレッシュする。大人にとっても、サードプレイスがあることは日々の生活に大きな心の余裕をもたらしてくれるのではないでしょうか。
月に一度の中国茶教室
昨年、私のサードプレイスを求めて、とある場所に通った時期がありました。それは、少し自宅から離れた場所で1カ月に1度程度開かれる、中国茶教室です。1クール3回で構成されたカリキュラムなので、約3カ月だけのお試し入会。ドキドキしながらも申し込み、未知の世界へ飛び込んでみました。
教室に参加していたメンバーは、当然ながら住む場所も、年齢も、職業も違いますし、特にお互いのパーソナルな話はしません。先生のお手本をみた後、ひとりひとりお点前をしていくのですが、その緊張感を共有したり、先生が用意してくださるお茶菓子に歓喜したり。お茶という共通項だけで成り立つ空間では、みな平等で、役割は必要ありません。ただ自分自身として、好きな事に向き合う時間。そこには、習い事に夢中だった子供時代に感じたのと同じ、心地よさがありました。
あなたのサードプレイスはどこですか?
生活していると、毎日色々なことがあります。晴天の空のように心晴れやかな日もあれば、土砂降りの雨の日のようにどんよりした気分の時もある。それでも、自分をなんとか保って生活を営んでいく。そうやって、日々の暮らしは続いていきます。
頑張ることは必要だし、頑張っている自分も好きだけれど、常に走り続けていると、時に心は疲れてしまうもの。
大人にも大切な、心を開放する時間。そんな時間を持つことで生まれた余白があってこそ、日々朗らかに過ごしていける。そのことを、中国茶教室での数時間が私に教えてくれました。
私にとってのサードプレイスは習い事の場でしたが、誰かにとっては行きつけのお店だったり、図書館で過ごす一人の時間だったり、旅をすることだったりするのでしょう。
それが例え束の間の時間であっても、また戻る日常は、きっといつもより軽やかな気持ちになっているはずです。
そんな事を考えていたら、みなさんの個性溢れるサードプレイスについて、話を聞いてみたくなりました。
「あなたのサードプレイスは、どこですか?」
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