先日、キラリオマガジンの連載「ママが『まま』でいるために」にて、インタビューを受ける機会がありました。お話を聞いてくださったキラリオインテリアの三浦さんから、「普段お仕事している姿をお子さんは見ていますか?」と聞かれ、「極力見せないようにしています」と回答した私。インタビューが終わった後、自分の回答に小さな疑問が湧きました。
インタビュー記事はこちら:ママが『まま』でいるために|vol.5 -仕事と暮らし、どちらも楽しめるバランスの模索- フリーライター佐藤ちえみさん
働く姿を見せてこなかった
ライターの仕事を始めたばかりだった頃は、作業するのは子ども達の昼寝中か、寝かしつけた後だけ。かたくなに働く姿を見せないようにしてきました。その理由はただひとつ。「お母さんはいつもパソコンばかり見て、私たちに構ってくれない」と思われるのが嫌だったからです。でもそれは、私がきちんと仕事のことを子どもに説明していないからかも・・・?!ふとそう思ったのは、私の父がまさにそういう人だったからです。
中学生の頃にみた、働く父の姿
昔から、自分の父がどんな仕事をしているのか、よく理解していませんでした。職場は知っているし、なんとなく仕事内容は想像できるけれど、あまり仕事のことを語らない父だったので、想像の域を超えることはなかったのです。
私が中学生だったある日、父が出席する会議の様子がWEB上で見られると母から聞きました。パソコン画面の中、大勢の人を前に話す父。「毎日仕事に行っているとは聞いていたけれど、本当だったんだ(笑)」と口では笑いながら、感じ取ったのは尊敬という二文字だったと思います。後にも先にも、父と仕事が繋がった瞬間はその一度きり。ですが記憶は強烈で、その時の感情や見た風景を今でも忘れることはできません。
仕事の体験は、遊びの延長で楽しく
3歳と5歳の子ども達に対して、ライターという仕事のことを、私はまだ上手に説明できずにいます。でも、たまに遊びの延長でやっている「インタビュー」ならどうだろう。それならば、子ども達にも楽しさや雰囲気を知ってもらえるかもしれない。そう思って、先日自宅で小さなインタビュー体験会をやってみました。
まずは私から子ども達へ、質問をしていきます。
普段やっているインタビューごっこは一問一答でサクッと終わるのですが、今回は仕事さながら、相手の返答に対して更に突っ込みを入れ、どんどん深掘りしていきます。
「どうしてそう思うの?」「どんな風に感じたの?」と質問を重ねられる度、子ども達も考えを巡らせ、頑張って言葉を探し、返してくれる。普段聞いているような話でも、深掘りすることで私自身気づかされることも沢山ありました。
インタビューが終わったら、それを記事にまとめていきます。
今回は、将来はカフェの店員さんになりたいという娘の夢に焦点を当てます。なぜ?と深掘りすると、「お会計の人になったらお金いっぱいもらえるやろ?わたし、お金持ちになりたいねん!!」というまさかの回答(笑)。
この回答を一番目立つようにまとめた記事を見て、「そうそう、私実はこう思っててん(笑)」と笑いながらも娘は満足そうでした。
今度は子ども達がインタビューする番です。質問を考え、練習中の平仮名で紙に書いていく姿は、真剣そのもの。
「答える人は、マイクをもってね!」とリモコンを渡され、私もインタビューに答えます。それに耳を傾け、答えを一生懸命メモしていく。一度で終わるかと思いきや、もう一回やりたい~!と、紙3枚が文字でいっぱいになるまでインタビューは続きました。
相手のことを知りたいという気持ちを、丁寧に形にする
インタビューをしてみた感想は一言「楽しかった!」でした。
私から、「お母さんも、いろんな人のお話を聞いくことで、その人の素敵なところが分かって、それをまとめて沢山の人に読んでもらうのがすごく楽しいと思っているんだよね」と伝えると、「それがお母さんのお仕事ってこと?」と娘。「そうそう!」と返すと、「それって、わたしがいつも幼稚園の先生やお友達に、お手紙でいろいろ聞くのと同じやな!」と言うのです。
確かに、娘はお友達や先生によく手紙を書いていて、その手紙にはいつも相手に対する質問があります。
相手のことが大好きだから、知りたい。私のことも知ってもらいたい。
そんな5歳の娘の日常にも、私がインタビューの仕事をする理由のようなものがあったのですね。
働く楽しさを見せられたら十分
働く姿をどう子ども達に見せていくのか。あるいは見せないのか。考え方は人それぞれ違うと思います。実際に、我が家の夫は家で仕事の話はしない主義です。
そんな中、私自身が今回の体験を通して感じたのは、「幼児期の子ども達には、働く楽しさが伝われば十分」ということです。
もちろん、実際には苦労や挫折も沢山あるし、うまくいかない時もあります。でも、まずはポジティブな面を見て、働くって楽しいんだということを知ってほしい。
好きなことをして生きていく時代。楽しく働く大人をみることで、子ども達自身が自分の未来を期待し、成長していく。私が働く姿を見せることが、そのきっかけになったら嬉しいです。