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日々是、ほがらかに生きる|No.21

「お姉ちゃんだから」のラベルを剥がす日

~家族のちょうどいいバランスって?~

「わたしは後でいいから、〇〇くん(弟)お先にどうぞ」
最近気になっている、娘の口癖です。
我が家には、3歳の息子と5歳の娘がいます。二人はとても仲が良いのですが、ここ1年ほど、娘が我慢してなんでも弟に譲ることが当たり前になってきました。
トイレの順番、お皿の色、玄関のドアを開ける順番。本当に些細な事なのですが、我慢が積み重なるのはどうなんだろう……。
気になって理由を聞いてみると、「だって〇〇くん、すぐ泣くし、そうなると私も嫌だから……」と言う娘。
平気な顔をしているものの、うっすら涙が溜まっているような気がする……。
ああ、これは良くない。そう思いました。

自然と芽生えた、お姉ちゃんとしての自覚と役割



下の子が生まれた時、ふたりに対して平等に向き合いたいと思いました。育児書や先輩ママからも、「つい下の子に目が行ってしまうから、上の子が置いてきぼりにならないように意識すべし」と言われていたし、その考えは私にとっても腑に落ちるものだったからです。
実際に、数年間はその通りに過ごしてきました。しかし、下の子が3歳を超え、こだわりが増えたあたりから、娘が自然と我慢をするようになってきたのです。
「お姉ちゃんだからしっかりしなきゃ」「お姉ちゃんだから優しくしなきゃ」
どうやら娘自身が、お姉ちゃんとしての自覚と役割を見出したようでした。

とことん娘モードで、好きなように過ごす週末

頑張り屋さんの娘を尊重しつつも、どこかでガス抜きは必要。そこで、娘と私チーム、息子と夫チームに分かれ、それぞれ子どものしたいことをする休日を設けました。



私と娘の行き先は、子どもの料理教室。食べるのが大好きな娘のリクエストです。
電車では「〇〇君はお父さんと二人で大丈夫かな?」と、心配そうに外の景色を見つめていました。



料理教室の会場は、京都・山崎にあるRelish。
プロの料理家の先生に、包丁の持ち方、ピーラーの使い方、野菜の切り方などを教わります。



「皮を剥く時は、まな板に乗せると安定するね!」「包丁は、前に押し出すようにすると切りやすいよ!」と、アドバイスを参考に自分でトライし、積み重ねる体験。この時ばかりは、弟を心配する余裕も無い様子で、真剣そのもの。誰にも邪魔されずに集中する時間も、思い返すと久しぶりだったように思います。



さて、そうこうしていると、あっという間に料理が完成!参加者全員とつくった野菜たっぷりのシチュー。「私が切ったじゃがいもや!」と美味しそうに食べ、あっという間に完食しました。

親が心配するほど、子どもは悩んでいないのかも?それでも……

料理教室を後にし、「おやつも食べちゃおうか♪」と、喫茶店へ。



注文したパフェがくるまでの間、「いつも〇〇くん(弟)に優しくしてくれて、ありがとう。△△ちゃん(娘)も、自分のやりたいことや希望を主張していいからね。我慢しすぎて、しんどくない?」と、なるべくいつものお喋りと同じトーンで、サラッと聞いてみました。
「まぁ大丈夫だよ。〇〇くん(弟)、思い通りにならないとすぐ泣くしさ、そうなるとわたしも悲しいねん。でも、ほんまにやりたい事やったら、“順番こ”がいいかもね。うまくできるか分からんけど」と、娘は笑って言いました。



そんな話をしていたら、娘が選んだバナナパフェがテーブルに到着。息子がいると、メニュー選びもいつも譲ってしまうのですが、今日は我慢なし!
大好きなバナナと生クリームを口いっぱいに頬張る娘。我慢するのは苦ではないと彼女は言うけれど、パフェを食べて幸せそうな表情を見ていると、こうやって娘の意思を優先する時間は必要だと改めて感じるのでした。

お姉ちゃんとしての葛藤と誇り

兄弟がいることで我慢も増えるけれど、相手を思いやる優しさを持つことができる。
“お姉ちゃん”であることは時に辛いけれど、誇りを持つこともできる。
物事に裏と表があるように、“お姉ちゃん”という役割にもA面とB面がある。そのバランスを上手にとることが大切なんですよね。



帰宅後、再会した娘と息子は、お互いに譲りっこなしの猛烈トーク!離れていた時間を埋めるかのように、仲良く(騒がしく)遊び始めました。

心地よい関係、心地よいバランスを、家族でつくっていく

その後、夕ご飯を囲む食卓で、それぞれの今日の出来事を報告しあいました。
「わたし、包丁使ってお料理したんやで!」「ぼくは、電車5つも乗ったんだよ!」
それぞれの時間を思い出し、二人が口を揃えて言ったのは「今度はみんなで一緒に行こうね!」でした。



家族は、一緒にいると心強く、とても大切な存在です。
でも、四六時中その中だけにいると息苦しいもので、時には離れたり、遠ざかったりする時間も必要。

それでも必ず、一日の最後には同じ場所で食卓を囲み、眠りにつくのだから、大丈夫。
このことを私も再認識したし、子ども達が息苦しさを感じたら伝えてあげたいです。
みんなでうまくバランスをとりながら、朗らかに生きていきたい。そうしていつまでも仲の良い兄弟でいてほしいと願う週末でした。

顔写真
Profile 佐藤ちえみ
京都在住のフリーライター。京都好きが高じて、家族で京都に移住し4年目。京都・子育て・暮らしをテーマに執筆活動する傍ら、プライベートでは3歳と5歳を育てる二児の母。

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